がん

 ガンは、体内細胞から変化する。それは遺伝子の変化による。細胞がガン化する時に、様々な原因でガン化する遺伝子とガン化を制止する遺伝子が、何段階の変化が必要だ。いくつかの組み合わせ、すべての条件がそろったときに、ガン細胞が発現する。ガン化した細胞は、いくつかの段階を経て母体を侵す。無秩序に増殖を始める。塊になると血管の造成を行う。次の段階では転移の能力を発現し、離れた場所でまた増え続ける。ガンは、遺伝子の疾患だという。それは疾患や異常と言うより、あらかじめ備わった潜在的な仕組みのように見える。遠い未来のおおきな環境の変化にそなえて、生き延びるための仕組みにも見えてくる。けっして単純な繰り返しでなく、高度で複雑で戦略的な手順を経て、ガンは確実に母体を侵していくし、環境適応のように薬剤耐性を備えて、力を増して復活してくる。

 本書では、時系列でガンとの治療の変移を追いながら、治療分野をうまく整理して伝えてくれる。病変削除という外科療法から始まり、消えるガンと続くガン。いったん消えて再発するガン。いつの間にかあちこちへ転移するガンと医療現場での試行錯誤から話は始まる。解剖学の整理、細胞、細菌の発見から消毒薬の利用、麻酔薬が開発され、放射線の発見、細胞の仕組みの解明、遺伝子工学の発達。医療技術と生命科学の進歩から、化学療法、放射線治療、遺伝子操作技術を駆使してガンとの戦いはく。

 医療、技術めんからでなく、社会的な戦略、啓蒙なども組み込まれている。膨大な資金をガン治療に向けるためのロビー活動、宣伝や啓蒙。世界的規模になったガンとの戦いには、政治的なものも避けて通れない。強力巨大なたばこ産業が結局、ガンのために縮小を余儀なくされたことは、ある意味驚きだ。良心を持ち出すべきかどうかは判らない。

上、下巻有って合計1000ページになるのかな。続けて読みました。おもしろく、訳がとてもすばらしく読みやすい本だった。

賞を目当てに本を選ぶと、おおよそ間違いが無いですね。ハヤカワのノンフィクションは良いねえ。

 

ピュリッツァー賞&ガーディアン賞受賞! 各界で絶賛を浴びた傑作ノンフィクション

がん‐4000年の歴史‐ 上 (ハヤカワ文庫NF) 文庫 – 2016/6/23
シッダールタ ムカジー (著), & 2 その他

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